総務省・厚労省・男女共同参画局との懇談会

7月27日、衆議院議員会館の会議室で、立憲民主党の大河原雅子議員に調整をしていただき、なくそう官製ワーキングプア東京集会実行委員会のメンバー有志と、総務省・厚労省・内閣府男女共同参画局の担当者と約1時間半にわたる懇談の場を持つことが実現しました。

この懇談会は、特に、会計年度任用職員制度3年目問題(※註)と、それへの対応についての国の認識や考え方を聞くこと、加えて、今年5月の政府の女性版骨太の方針で決まった全労働者を対象とする男女間賃金格差の開示が、公務員においては、どのようなかたちで実施されるのかを聞くことを主なテーマに据えました。

また、事前質問(下記データ参照)では、関連して、会計年度任用職員制度開始3年目に起きることが予想される大量の公募/雇止めが、労働施策総合推進法の「大量雇用変動」に該当すると思われるが、それに対する対応はどのようにとる予定なのか、会計年度任用職員として雇われている障害のある人が、現状で、障害者雇用促進法の法定雇用率の算定に含まれているが、これは、障害者の雇用安定という面からも、また、実質、常用雇用として会計年度任用職員を扱っているという点からも矛盾があるのではないか、といった質問を出していました。

懇談会では、事前に提出していた質問と、いただいていた回答(下記データ参照)を受け、総務省・厚労省・男女共同参画局の担当者に、さらに質問を重ねると同時に、はむねっと2022年調査結果報告などを元に、現場の実情や切実な声を伝え、改善が必要な実態があること伝えていきました。

総務省からは、そもそも会計年度任用職員は1年毎に違う職として雇うものであり、再度の任用はできるが、制度上、職は1年限りであるため、再度任用がない場合も雇止めにはあたらない、この点は制度上仕方がない、という説明がありました。また、どのような職を会計年度任用職員として雇うべきかはマニュアルに書いてあるが、具体的にどの職を会計年度任用として雇うかを決めるのは総務省ではない(各自治体が決めるものだ)といった応答がありました。

厚労省には、非正規労働者一般に対する雇用政策について質問をしたところ、課題はありながらも、有期雇用労働者の無期転換が進んできており、雇用安定に向けたこの間の政策には一定の効果がみられるという認識が示されました。ただ、公務員は労働契約ではなく、任用であり、適用除外だということが話されました。障害者雇用については、実態として「1年を超えて雇用される者」として、会計年度任用職員も常用雇用の対象として計上している、との答があり、ただ、会計年度任用職員制度について、厚労省が意見を述べることは難しいというやりとりがありました。

こちらからは、公務にこそ、率先して、よい働き方のモデルを作ってほしいこと、実態として本来あってはならないはずの妊娠による「雇止め」といった問題が、会計年度任用職員制度のもとで、公然と行われており、大きな問題があるといった実態を話しました。

男女賃金格差の開示については、男女共同参画局から、民間で非正規を含めるので、公務においてもその方向で検討しているという応答がありました。こちらからは、格差解消のために行われる開示であるという点を踏まえ、実態として正規・非正規間の格差が、間接的な女性差別になっているという構造を深堀できるような情報開示のあり方を考えて欲しい、ということを伝えました。

同席していただいた大河原議員からも、会計年度任用職員制度が、保育現場をはじめとする現場の状況を悪化させていること、制度設計の際に、デメリットへの想像力が足りなかったこと、これ以上悪化させない対策を取ることが必要だ、といった意見が出されました。

最後は、引き続き、こうした懇談の場をもたせてもらいたいことを伝え終了となりました。(文責・はむねっと)

※3年目公募問題:会計年度任用職員制度の3年目となる今年度末に全国で実施される可能性のある公募/雇止めの問題。これは、法的規定ではなく、総務省が示した制度の運用マニュアルに、「国の期間業務職員については、再度の任用を行うことができるのは原則2回まで」と書かれたことに由来している。東京都など、一部自治体では原則5年、また、更新回数に限度を設けていない自治体も少数だが存在している。

◆資料

はむねっと2022年調査速報版

はむねっと2022調査の速報版ができました!是非お読みください。

公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)
2022年調査「集める。伝える。届けるプロジェクト ~あなたの声を集め、社会へ伝え、国と自治体へ届けます!」速報版

■はむねっと2022調査
■調査の趣旨・目的:2021年に続き、非正規で公務労働にかかわる当事者の生の声を広く集め、現状を明らかにすると同時に、社会に公務非正規に従事する人たちの現状を発信すること
■実施主体:公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)
■調査方法
方法:インターネット(グルーグルフォーム)によるアンケート
期間:2022年5月2日(月)~6月4日(土)
対象:現在、非正規で公務労働に従事している方(既に退職された場合でも、2020年4月から2022年3月の間に在職されていた方を含みます。大学は対象外とさせていただきます)

●有効回答 705件(回答数 715件)
●前回(2021年)調査に回答していない新規回答者が8割
●9割が女性回答者
●年齢 50代が38% 40代が25%
●在職者 96%
●全都道府県からの回答あり(北海道・東北(55)、関東(467)、中部(58)、関西(48)、中国・四国(25)、九州・沖縄(50)、無回答(2))

◆もっとも伝えたい現状
・雇用が不安定(有期雇用)・給与が低い・正規職員との格差が大きい
・回答者の8割が新規で、職種分布も昨年とは異なる結果だった。にもかかわらず、「将来不安9割」は昨年と共通しており、回答者の多くが、「雇用が不安定」であり、「給与が低い」と感じていることがあらためて浮き彫りになった。

◆参議院議員選挙関連
・7月の参院選挙において公務非正規問題について候補者や政党を選ぶ際に重視するかという設問に約3割は重視すると回答
・「他の問題と総合的に判断する」を加えると回答者の約8割は非正規公務員問題/参議院議員選挙に関心を寄せている

●職種
一般事務職員(その他事務職を含む) 36.9%
図書館職員 10.9%
学校に関わる相談・支援業務 10.4%
学校司書 7.5%
学童保育員 5.2%
保育士・保育補助 4.4%
公民館及び類似施設職員 4.1%
女性関連施設職員(男女共同参画センターなど)3.4%
技能労務職員 3.4%
婦人相談員 2.0%
ハローワーク関連 1.6%
その他 9.9%
NA 0.3%
その他:教員、博物館など施設職員、医療専門職、各種相談員など

●雇用主 9割が地方自治体            
●就業形態 9割が会計年度任用職員
●雇用契約期間は95%が1年
●所定労働時間
20時間以上30時間未満 3割
30時間以上35時間未満 3割

●2021年度就労収入
150万円未満 38%
200万円未満 54%
250万円未満 80%

・フルタイム会計年度任用職員の約6割が250万円未満

●3割強が主たる家計維持者
※主たる生計維持者の年収 約4割は200万円未満

●世帯の収入について
「自分の就労収入がなくなると、家計が非常に厳しい」がもっとも多い回答

●通算した勤務年数
16年以上が31%  
10年以上67%

●現在の職場の勤務年数 
1~3年 48%  
6~10年 18% 
4~5年 17% 

●体調  
昨年同様 約3割(29%)が身体不調 約4割(37%)がメンタル不調

●将来への不安を感じるか  
昨年同様 9割がなんらかの不安を抱えている

■声
・会計年度任用職員の制度が始まってから、また来年雇ってもらえるかどうかの不安が大きくなり毎年年度末には頭を悩まされています。/正規職員と同じように人事評価をするなら、雇用主が認めた場合期限無しで雇用できるようにしていただきたいです。 
女性 30代 九州・沖縄

・同じ場所で働くのに3年に1度公募する制度の意味がわからない。以前は1ヶ月休職してまた新規採用だったため、続けて働けるようになっただけましか…?? 
女性 30代 北海道・東北

・私の職場は二回まで更新できますが、その後は公募にも応募出来ません。一生懸命覚えても、3年でサヨナラ確定ではモチベーションの保ち方がわかりません。所詮使い捨てなんだなと空しくなります。
男性 40代 中部

・1年更新の最長3年までだと、やっと覚えてきた頃です。利用者にもいい提供ができないと思われます。働く側にも意欲がわくかと思いますので、制度を見直していただきたいと思います。 
女性 40代 九州・沖縄

・来年の春に任用期間が終わり、再度採用試験を受けることになると言われています。(これまでも臨時職員→会計年度任用職員として長年勤務されている方も多い職種ですが…)せめて、継続希望する会計年度任用職員の方には、前年度までの業務実績や勤務態度なども加味していただけると有り難いです。
女性 40代 中国・四国
・公務の仕事に責任と誇りを持っているつもりです。ですがあまりに安い給料、ここまで正規と待遇差があるとは入るまで知りませんでした。会計年度職員、もうこの名称からして嫌になります。安い給料なのに最大一年。それから先は雇止めの可能性だってある。こんな不安を抱えながら公務の仕事をしている自分に、時折なぜ私はここに勤めているのだろうと思う事もあります。せめて無期雇用にしてほしい。切なる願いです。 
男性 40代 北海道・東北

・正職員より高いスキルや資格を求められる不安定労働者(自分)が不安定の求職者を支えており、心が折れそうになる時があります。 
女性 50代 関東

・仕事も覚えてやりがいを感じていても常に、3年後が不安。3年で辞めるか、公募に応募して5年勤めるか、でも、40代の私は5年後仕事があるのだろうかと常に悩んでいます。 
女性 40代 関東

・昇給も公務員試験を受けて採用された正規公務員の方と同等の福利厚生も望みません。ただ安定して働きたいです。
女性 40代 九州・沖縄

・給料が安すぎます。技術を磨き、より良いサービスを提供するから、給料をあげてください。/そして、安心して長く勤めさせてください。
女性 40代 中部

・格差をなくすことの見本であることが、公共の役目。
女性 50代 九州・沖縄
・専門職的に働いています。それなりの職務経験や資格が要求される職種なのに、給料のテーブルは高卒事務員並みで上限は30歳程度。現職のほとんどが40代以上なのに、それ以上の上積みは無し。せめて在職年数に合わせて昇給させてほしい。これじゃ、私たちのやりがいやスキルは搾取されていますよね。
女性 50代 中部

・専門的な知識やスキルが必要である職種にも関わらず、長期継続が出来ないことで、これまで培ってきた経験やスキルが活かされずに終わっている。/会計年度任用職員には研修は不要と言われた。/理由は正規職員よりも優秀になられると困るからだそうな。呆れた。
女性 50代 北海道・東北

・労働者を使い捨てないでほしい。やり甲斐だけで続けられると思わないで。
女性 20代 九州・沖縄

・会計年度任用職員ですが、2021年度いっぱいで雇い止めになりました。10年間も働いていたのに。非正規の公務員は3割はいるはずですが、私たちは雇い止めされるのが怖くて、職場で自由に意見を言うこともできませんし、雇い止めされた後は、次の公募が心配で、この制度について声を上げることもできません。私たちは労働者で、人間です。総務省、自治体は正規職員や他の労働者と、会計年度任用職員の間での差別をやめてください。正規雇用化を進めてください。 
男性 40代 関東

◆詳報は7月に報告予定です!
◆詳しくは、はむねっとホームページをご覧ください。

調査にご協力いただいた全国のみなさまに心より感謝申し上げます。

参院選2022 はむねっと「政党アンケート」結果

2022年7月に行われる予定の参議院議員選挙(2022年6月22日公示・7月10日投開票予定)に向けて、国政政党を対象にしたアンケートを実施しました。アンケートを送らせていただいた全ての政党から回答がありました。お忙しい中、回答を寄せていただいた各政党に感謝致します。

以下に回答概要、回答詳細の順にお伝えします。(全回答エクセルファイル

【回答概要】

続いて、各質問についての回答詳細です。

【回答詳細】

はむねっと2022アンケート「集める。伝える。届けるプロジェクト~あなたの声を集め、社会へ伝え、国と自治体へ届けます!」、715件の回答で終えました。

昨年に続き、5月2日から始めた今年のはむねっと2022アンケート「集める。伝える。届けるプロジェクト」は、最終的に715件の回答を得て終了いたしました。回答をいただいた全国のみなさま、また、広報をはじめとするさまざまなご協力いただいた個人や団体のみなさま、メディア関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。

この後、寄せられた回答を精査・集計、分析し、6月末をめどに公表いたします。

引き続き、どうぞ、よろしくお願いいたします。

はむねっと語り場 Vol.4 開催のお知らせ

****************************
はむねっと語り場 Vol.4 開催のお知らせ(参加費無料・申込制)
****************************
公務非正規女性全国ネットワークはむねっとは、公務非正規の経験者同士が、経験を共有しあい、互いに交流すること、また、公務非正規の問題を発信していくことを目的に、語り場を開催しています。

第4回目となる次回は、元婦人相談員の藍野美佳さんからお話をいただき、その後、参加者同士で意見交換、経験の交流の機会を持ちます。
みなさまのご参加お待ちしています。

■日時 5月28日(土)10時~12時
■話題提供者 元婦人相談員・藍野美佳さん
■開催場所 リアル会場:ポット出版会議室+オンラインZoom 申込制
■参加費無料
■参加申し込みフォーム
https://forms.gle/7cvjXGT1UZcEoD9P8

■お問合せ先・主催
公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)
hiseiki.koumu@gmail.com

今年も、はむねっと調査を実施すると共に、政党アンケートを実施します

私たち、公務非正規女性全国ネットワークは、表題の通り、昨年とほぼ同時期に、公務非正規労働に従事している人たちの声を集め、発信していこうと、Webアンケートを実施することとなりました。(https://nrwwu.com/survey-2/1690/)また、参議院選挙に向け政党アンケート(https://nrwwu.com/topics/1695/)もあわせて実施します。
今年は、地方自治体の現場に、会計年度任用職員制度が導入されて3年目の年となり、このままいくと、今年度末には、全国の地方自治体で現職として働いている人がいったん雇止めとなり、継続を希望する人は、再度の「公募」に応じなければならないという大量の「雇止め/公募」が実施される見込みです(推計40万人)。この「3年目公募問題」については特集ページを作っています。是非、御一読ください。(https://nrwwu.com/topics/1651/
当事者アンケート、政党向け公開質問、3年目公募問題、いずれについても、ご注目いただき、是非、取材、報道等お願いできれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

【終了しました。ご協力ありがとうございました】はむねっと2022年アンケート 集める。伝える。届けるプロジェクト~あなたの声を集め、社会へ伝え、国と自治体へ届けます!

アンケートフォームの入り口はこちら

2021年3月にできた公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)からの呼びかけです。

はむねっとは、2021年4月30日~6月4日に、「公務非正規労働従事者緊急アンケート」を実施しました。このアンケートは、公務非正規の生の声を集めた調査として大きな反響を呼びました。その後、はむねっとでは、回答者の8割を占めた会計年度任用職員に関わる課題をまとめ、総務省や人事委員会へ「会計年度任用職員制度について見直してください」と要望し届ける等の活動を行ってきました。
しかし、状況改善の兆しが見えないまま、今年は、早くも、制度開始から3年目の、大きな問題を抱えた年度を迎えています。はむねっとでは、HPに「3年目公募問題」特集ページをつくり、今年度末に起こることが予想される全国での大量「雇止め/公募」問題への注意喚起を行っています。

加えて、この一年、私たちは、まだまだ、全国に、埋もれている声があると感じてきました。また、調査をやっていたのであれば、答えたかったという声もたくさんいただきました。そのため、私たちは、あらためて、全国の公務現場で働く非正規にとって、いま、何が切実な問題なのか、求めていることは何なのかを、明らかにしていこうと、再び、みなさんの声を集めるプロジェクトを実施することにしました。

昨年ご回答いただいた方も、そうでない方も、是非、声をお寄せください。公務非正規として働くわたしたちの声を社会に届けていきましょう。みなさんの声をお待ちしています。

今年は、7月に参議院議員選挙が予定されています。はむねっとでは、現在、各政党に向けた公開アンケートも実施しています。公務非正規問題への注目を集めていきましょう。政党アンケートの結果にも、ご注目ください。

今回実施するアンケートの結果は、個人の特定ができないように集計し、6月末を目途に、ホームページで公表し、広く発信していきます。
みなさんの声・経験をどうぞお寄せください。また、周りの方々にも回答を呼びかけていただけると幸いです。

★アンケート入力フォームはこちらから。

■対象者:現在、非正規で公務労働に従事している方(既に退職された場合でも、2020年4月から2022年3月の間に在職されていた方を含みます。大学等独立行政法人は民間となっていますので、残念ながら含まれません。)
■回答締切:2022年6月3日(金) 23:59まで
■実施団体:公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)
■ホームページ:https://nrwwu.com/
■本アンケートに関する問い合わせ先 メール hiseiki.koumu@gmail.com