『公務非正規労働従事者への緊急アンケート調査 第一次報告』へのご質問と回答

第一次結果報告へのご質問や疑問と、それへの回答をまとめてみました。ここには、7月に行った記者会見でのご質問だけではなく、ホームページで公開している結果を閲覧した方々からの疑問も含まれています。

Q1.第1次報告となっているが、この調査をもとにした第2次報告等がこの先あるのか。

A1.調査開始時に、6月末をめどにまとめると告知していたこともあり、まず、全体のまとめを提示したのが今回の報告。回答が予想以上に集まったこともあり、この先、職種や地域で課題を分析するなど、さらなる調査分析をしていきたいと考えている。また、調査回答をいただいた方へのインタビューなどの追加アンケートについても今後検討していきたい。

Q2.総務省は、会計年度任用職員制度は、概ね、制度の趣旨に沿った運用が図られている、制度移行時には一定適切な職の整理が行われた、としているが、この調査で、そうした国の整理とは異なる状況が見えたという理解でよいか。

A2.そのように言えると思う。今回集まってきた回答から、制度移行時に、説明がないか、または不適切な説明しかなされないまま、フルタイム勤務から、パートタイムに移行させられた例があったことや、待遇改善とは言えない、大幅な給与の切り下げがあった例も見受けられた。今後、そうした例については、状況把握をし、問題を訴えるなどしていきたい。

Q3.収入については、ダブルワークをしている場合などの収入も含めたものか。公務非正規の仕事で得ている収入に限定されたものか。

A3.こちらで聞いたのは、ダブルワークなども含めた収入になる。質問では、「2020年(1~12月)の就労収入は、年収額(社会保険料や源泉所得税、その他の控除が引かれる前の「総支給額」のこと。「手取り額」ではありません)で次のどれですか」という聞き方をしている。

Q4.収入のところにある「非該当」とは何をさすのか。

A4.2019年度で仕事を辞めている人や、2020年の途中(2020年4月からなど)から職に就いた人や途中で退職した人などがいた。それら2020年に12か月間を勤務していない人が非該当に当たる。

Q5.この先、はむねっととして、どのような活動を行っていく予定か。国への要請活動や、労働組合への働きかけなどを行っていく予定か。

A5.現時点では、この先の活動については、まだ決まってはいない。調査報告を重ね、さらなる調査の分析、追加調査なども行いながら、国への要請活動や、労働組合への働きかけなども検討していけるとよいと思う。同時に、全国の当事者の人たちが、こうした調査をもとに、各地域で声を上げるなどの活動をしていけるとよいとも思っている。

Q6.はむねっとで、語り場を開催しているというが、今後、語り場はどのように行っていくのか。広く参加を求めていくものか。

A6.語り場は、これまでに2回開いてきている。こうした場がオンライン含め、各地で開かれていくとよいと思う。当事者が声を上げ、共感やつながりを広げていくことが大切ではないかと思う。

Q7.正規公務員の数と、非正規公務員の数を教えてほしい。

A7.総務省が行った2020年度の地方公務員の非正規職員に関する調査で、会計年度任用職員、臨時的任用職員、特別職非常勤職員で、69.4万人という数字を出している(2016年調査の64.3万人から5.1万人増加)。ただ、2020年度調査で、はじめて、任用期間6か月未満などの短期任用の人の数を出した。短期任用の非正規をあわせると、その数は、112万5746人になる。また、直接任用ではない、指定管理や委託などの形態で働く人は、さらに、かなりの数となる。そうした直接任用以外の人も含めた、公務非正規従事者についての公的統計は、存在していないと言える。なお、地方公務員の正規公務員数は、2020年4月現在で、276.2万人(1994年をピークに、約52万人減少)。国家公務員については、正規公務員数が約58.6万人で、非正規職員が、15.5万人(ただし、再任用短時間勤務職員及び育児短時間勤務に伴う任期付短時間勤務職員は含まない)。

Q8.ジェンダー不平等の問題として公務非正規の問題があるということだが、そこについてもう少し説明してほしい。

A8.公務非正規の約8割は女性が担い手となっている(国の調査では、地方自治体で働く会計年度任用職員の約4分の3、76.6%、人数にして476,403人が女性)。8割が女性だからこそ、不安定で、低い待遇であっても、よいとされ、実態とは別に、メインの働き手は他にいる、補助的な稼ぎ手とみなされ、問題が見過ごされてきたと考えられる。また、非正規という弱い立場で、かつ女性という立場であることで、ハラスメントが起きやすい構造もできてきた。さらに単年度任用などの不安定な立場で、声があげにくい状況がある。そうした、公務非正規問題を、担い手の性別の偏りの問題、ジェンダーの問題として位置付ける必要性を感じ、あえて、「公務非正規女性」という名称を冠した。ただ、私たちの活動は、今回のアンケート調査も、対象者を限定してはおらず、実際に、運営メンバーには男性も参加している。

Q9.現場から見てこのアンケート結果についてどのように感じるか。

A9.現場で働くなかで、問題を常に感じてきた。ただ、一人では声が上げられずにいる人も多いと思う。その意味で、多くの現場の声が反映されたアンケート結果だと感じる。現場で働くなかで、このままでは、国が瓦解していくという危機感を持っている。公務サービスを行うにあたり、利用者を真に考えてのサービスを行うのではなく、任用についての権限を握る正規職員の顔色をうかがうような仕事の仕方を強いられる状況がある。それでは、真っ当な公務サービスの提供はできなくなってしまう。公共サービスが本来の意味を取り戻すためにも、働き手の安定や、パワハラが起きやすい現在の構造を変える必要がある。